「うちのボーナスって、他の園と比べて多いの?少ないの?」「公立の保育士ってどれくらいもらってるんだろう?」――ボーナスの話は同僚にも聞きにくいだけに、気になっている方は多いはず。
実は保育士の賞与(ボーナス)は、公立と私立で大きな差があるのが現実だ。さらに、園の規模や経営状態、地域によっても支給額はバラバラで、一概に「保育士の賞与は○万円」とは言い切れない。
この記事では、保育士の賞与の平均額を公立・私立別にデータで比較し、支給時期や回数、ボーナスを増やすための方法まで詳しく解説していく。

保育士の賞与の平均額
まずは全体像から確認しよう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査のデータをもとにした保育士の賞与(年間)の平均額を紹介する。
全体の平均
保育士全体の年間賞与の平均額はおよそ84万8,000円だ(賃金構造基本統計調査による)。これは月給の約2〜3か月分に相当する。夏と冬の2回に分けて支給されるケースが一般的で、1回あたり約42万円が平均的な目安になる。
手取りの目安
賞与からも社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)と所得税が差し引かれる。額面42万円の場合、手取りはおよそ33万〜35万円程度になるのが一般的だ。「思ったより引かれる」と感じる方も多いが、これは給与と同じ税制が適用されるためだ。
手取り額がわかったら、家計簿に「ボーナスの使い道」を先に書き出しておくと、貯金や大きな出費の計画が立てやすくなる。
公立と私立の賞与比較
保育士のボーナスで最も大きな差が出るのが、公立と私立の違いだ。データで比較してみよう。
公立保育園の場合
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 年間賞与 | 約146万円(夏+冬合算) |
| 1回あたり | 約73万円 |
| 支給月数 | 4.4〜4.6か月分 |
公立保育園の保育士は地方公務員として扱われるため、賞与は「期末手当」「勤勉手当」として支給される。支給月数は4か月以上が一般的で、民間と比べて非常に恵まれた水準だ。
私立保育園の場合
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 年間賞与 | 約72万円(夏+冬合算) |
| 1回あたり | 約36万円 |
| 支給月数 | 2〜3か月分 |
私立保育園の賞与は園の経営状態に左右される。支給月数は2〜3か月分が多数派で、好条件の園では4か月分以上を出すところもある。一方で、1か月分以下の園や賞与がない園もゼロではない。

賞与の支給時期と回数
保育士の賞与はいつ、何回支給されるのかを確認しよう。
年2回(夏・冬)が基本
保育士の賞与は、夏と冬の年2回支給が一般的だ。具体的な支給時期は園によって異なるが、おおむね以下のとおりだ。
| 時期 | 支給の目安 |
|---|---|
| 夏のボーナス | 6月下旬〜7月上旬 |
| 冬のボーナス | 12月上旬〜12月下旬 |
公立保育園の場合は、公務員の支給日(6月30日・12月10日)に準じているケースが多い。私立の場合は園ごとに支給日が異なる。
年3回支給の園もある
一部の園では、夏・冬に加えて年度末(3月)に「期末手当」や「決算賞与」として3回目のボーナスを支給するケースもある。求人票に「賞与年3回」と記載されていれば、このパターンだ。
年1回の園もある
園によっては賞与が年1回のケースもある。年1回の場合は冬(12月)に支給されることが多い。年1回でも支給月数が多ければトータルの金額は年2回と変わらないこともあるので、金額で比較しよう。
新卒1年目のボーナス
新卒で保育士になった場合、最初のボーナスはどうなるのか気になるところだ。
夏のボーナスは満額出ないのが一般的
4月に入職した場合、最初の夏のボーナス(6〜7月)は在籍期間が短いため減額されるのが一般的だ。満額の半分程度、あるいはさらに少ないケースもある。
冬のボーナスからは通常支給
冬のボーナス(12月)からは在籍期間が半年以上になるため、ほぼ満額に近い金額が支給されるケースが多い。新卒1年目の年間ボーナスの目安は約12万9,100円という調査データもあるが、これは夏ボーナスの減額分を含む数字だ。
賞与を増やすための方法
少しでもボーナスを多くもらうために、どんな方法があるのか紹介する。
賞与の多い園に転職する
最もシンプルかつ効果的な方法は、賞与の支給月数が多い園を選んで転職することだ。求人票の「賞与4か月分」「賞与4.5か月分」といった記載に注目しよう。ただし、求人票に記載されている賞与月数は「前年度実績」であり、園の業績によって変動する可能性がある点は理解しておきたい。
公務員保育士を目指す
公立保育園の保育士は地方公務員のため、賞与が安定して高水準だ。採用試験を突破する必要があるが、長期的に見てボーナスの差は大きい。年間で私立と70万円以上の差がつくケースもある。
公務員保育士の採用試験は教養試験と専門試験が課されることが多いので、自治体の試験内容を確認したうえで、対策用の問題集で出題形式に慣れておくと準備を進めやすい(最新年度版を選ぼう)。
キャリアアップで役職手当を狙う
主任保育士や副主任保育士になると、基本給が上がるためボーナスの金額もアップする。キャリアアップ研修を修了して処遇改善加算の対象になることで、賞与に反映される処遇改善分も増える可能性がある。
園長と交渉する
経験年数やスキルに見合った賞与が支給されていないと感じたら、園長や管理者に相談してみるのも一つの方法だ。面談の場で自分の貢献をアピールし、評価に反映してもらえるよう働きかけよう。

求人票でボーナスを見るときの注意点
求人票のボーナス情報を正しく読み取るためのポイントを押さえておこう。
「前年度実績」の注意
求人票に記載されているボーナスの月数は「前年度実績」であることが多い。園の業績が悪化した場合は、実際の支給額が下がる可能性がある。面接時に「直近の実績は求人票と同程度ですか?」と確認しておくと安心だ。
基本給ベースかどうかを確認
「賞与3か月分」の「○か月分」は、基本給をベースに計算される。手当込みの総支給額をベースにしているケースもあるので、何をベースにした○か月分なのかを確認しておきたい。
「賞与あり」の落とし穴
「賞与あり」とだけ書かれている場合、具体的な月数が明記されていないことがある。「あり」だけでは金額がわからないため、面接で確認するか、口コミを調べてみよう。
待遇について面接で質問するのは気が引けるという方は、保育士向けの面接対策本で「逆質問」の例を確認しておくと、失礼にならない聞き方がつかみやすい。
パート保育士の場合、賞与が支給されない園もある。「パートは寸志(1〜2万円程度)」というケースも多い。求人票に「パートにも賞与支給」と明記されている園は、パートへの待遇が手厚い園と判断できる。
施設タイプ別の賞与傾向
保育園以外の施設タイプではボーナスの傾向がどう異なるのか、知っておくと転職先選びの参考になる。
認定こども園
認定こども園は保育園と幼稚園の機能を併せ持つ施設で、賞与の水準は私立保育園と同程度のケースが多い。ただし大規模法人が運営する認定こども園では、賞与4か月分以上を出すところもある。
小規模保育園
定員19名以下の小規模保育園は、経営規模が小さい分、賞与が控えめになる傾向がある。賞与1〜2か月分の園が多いが、その分アットホームな環境で働けるメリットがある。
企業主導型保育園
企業が設置・運営する保育園で、母体企業の待遇に準じて賞与が設定されるケースが多い。大手企業の企業主導型保育園であれば、賞与が手厚いこともある。園ごとの差が大きいジャンルだ。
院内保育所
病院内に設置された保育所で、夜勤がある代わりに手当が手厚い傾向がある。賞与は2〜3か月分が一般的だが、夜勤手当を含めた年収で見ると他の施設タイプを上回るケースもある。
よくある質問
Q. 処遇改善手当はボーナスに含まれる?
園によって扱いが異なる。処遇改善手当を月々の給与に上乗せする園もあれば、一部をボーナスにまとめて支給する園もある。気になる場合は園に配分方法を確認しよう。
Q. 退職する年のボーナスはもらえる?
賞与の支給日に在籍していれば、基本的にはもらえる。ただし園の就業規則に「支給日に在籍していること」が条件として定められている場合がほとんどなので、退職のタイミングは賞与支給日を過ぎてからにするのが賢明だ。
Q. ボーナスが一切出ない園ってあるの?
少数派だが存在する。特に小規模な個人経営の園や、設立間もない新設園では賞与がない場合がある。求人票に「賞与なし」と明記されている場合は、月給や手当が手厚いかどうかで年収ベースの比較をしよう。
Q. パートの賞与はどれくらい?
パート保育士の場合、賞与が支給されない園もある。支給される場合は「寸志」として1〜3万円程度のケースが多い。ただし「パートにも賞与2か月分支給」という園もあるので、求人票をしっかり確認しよう。
Q. 賞与と年収の関係は?
賞与は年収に大きく影響する。たとえば月給20万円でボーナスが年間4か月分なら賞与は80万円で年収は約320万円。同じ月給でもボーナスが2か月分なら賞与40万円で年収は約280万円。年間40万円もの差がつくため、転職時は月給だけでなく賞与月数も合わせて年収ベースで比較することが大切だ。

まとめ
保育士の年間賞与の平均はおよそ84万7,900円で、公立(約146万円)と私立(約72万円)で大きな差がある。支給回数は年2回(夏・冬)が一般的で、支給月数は私立で2〜3か月分、公立で4か月分以上が目安だ。
ボーナスを増やすなら、転職で支給月数の多い園を選ぶのが最も効果的だ。求人票のボーナス情報を正しく読み取り、面接時に具体的な支給実績を確認することで、転職後の「想像と違った」を防げる。
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