「保育士は給料が安い」と言われがちですが、すべての園が同じ給与水準というわけではありません。園によって月収で5万円以上の差がつくことも珍しくなく、探し方次第で年収400万円以上の好条件求人にたどり着くことは十分に可能です。
記事執筆時点では、2026年度から保育士の処遇改善として約5.3%の賃上げが実施されています。国全体として保育士の待遇改善に力を入れている今だからこそ、より条件の良い園を選ぶチャンスが広がっています。
この記事では、高給与の求人を効率よく見つけるための具体的な方法と、給与が高い園に共通する特徴を詳しく解説していきます。

高給与が期待できる園の5つの特徴
やみくもに求人を探すのではなく、高給与の園に共通する特徴を理解した上で絞り込むのが効率的です。以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
企業主導型保育園
企業が従業員のために設置する保育園は、一般の認可保育園より給与水準が高いことが多いです。企業の福利厚生の一環として運営されているため、社員と同等の待遇が適用される場合があります。賞与や各種手当も手厚い傾向にあり、年収ベースで認可保育園を上回るケースが少なくありません。
園児数が少なめのところが多く、業務負担が軽い場合もあるため、「給与が高い上に働きやすい」という環境が実現できる可能性があります。
院内保育所
病院内に設置された保育所は、夜勤手当がつく分トータルの給与が高くなります。月に4〜5回の夜勤で、月収が3〜5万円程度上乗せされるケースもあります。夜勤は体力的に大変な面もありますが、日中の時間を有効に使えるメリットもあります。

処遇改善加算を積極的に活用している園
国の処遇改善制度を利用して職員の給与にしっかり反映させている園を選ぶのがポイントです。記事執筆時点では、処遇改善等加算I・II・IIIの3段階があります。キャリアアップ研修を修了していると加算額が増える仕組みで、副主任保育士や専門リーダーには月額4万円の処遇改善が適用されます。
ただし手当の配分方法は各園に委ねられているため、求人票で「処遇改善手当あり」と記載があるか、具体的にいくら支給されるのかを必ず確認しましょう。
主任・リーダーポジションの求人
経験を活かして主任保育士やリーダー職で転職すると、一般保育士よりも大幅に給与がアップします。主任保育士は月額で3〜5万円程度の役職手当がつくケースが多く、年収に換算すると36〜60万円の差になります。キャリアアップ研修の修了が有利に働くため、スキルアップへの投資は惜しまないようにしましょう。
家賃補助制度がある自治体の園
自治体によっては保育士向けの家賃補助制度を設けています。給与だけでなく福利厚生もトータルで判断することが大切です。東京都の借上げ社宅制度では月額最大7万5千円(自治体独自の上乗せで増額される場合もあり)の補助が出るケースもあり、実質的な年収アップと同じ効果があります。
- 企業主導型保育園は給与水準が高めで福利厚生も充実
- 院内保育所は夜勤手当で月収3〜5万円アップの可能性
- 処遇改善手当の還元状況は園によって大きく異なる
- 主任・リーダー職なら年収36〜60万円アップが見込める
- 家賃補助制度も実質的な収入アップにつながる
高給与求人の具体的な探し方
転職サイトで条件を絞り込む
「月給25万円以上」「賞与4ヶ月以上」といった条件で検索すると、高給与の求人だけをピックアップできます。複数のサイトで同じ条件で検索し、結果を比較するのが効果的です。
非公開求人を持つエージェントに登録する
好条件の求人ほど非公開にされる傾向があります。エージェントに登録して「年収400万円以上を希望」と具体的な数字で伝えれば、非公開求人の中から条件に合うものを紹介してもらえます。
家賃補助制度がある自治体を狙う
給与そのものが高くなくても、家賃補助が手厚い自治体で働けば実質的な手取り額が大幅に増えます。自治体ごとの支援制度を調べて、トータルでの収入を比較検討するのが賢い方法です。
複数のサイトで同じ園の条件を比較する
同じ園の求人でも、掲載サイトによって提示される条件が異なることがあります。最低3つ以上のサイトで比較して、最も好条件のルートから応募しましょう。

給与交渉を成功させるコツ
自分の経験とスキルを具体的にアピール
「経験〇年」「キャリアアップ研修修了済み」「リーダー経験あり」「〇〇の対応経験あり」など、具体的な事実を数字で示すことで交渉力が高まります。
現在の給与と希望額を明確に伝える
「今より上げたい」という曖昧な希望ではなく、「現在の年収は〇万円で、希望は〇万円以上」と具体的に伝えましょう。転職エージェントを利用すれば、この交渉を代行してもらうことも可能です。
複数の内定を持つと交渉が有利になる
複数の園から内定をもらっている状態だと、条件交渉で有利に働くことがあります。「他の園からも良い条件を提示されている」という事実があると、園側も条件の上乗せを検討してくれやすくなります。
- 給与だけでなく賞与・手当・福利厚生もトータルで判断する
- 処遇改善手当の具体的な金額は面接時に必ず確認する
- 家賃補助制度は自治体によって内容が大きく異なる
- 給与交渉は自分でやるのが難しければエージェントに代行を依頼
よくある質問(Q&A)
Q. 保育士で年収400万円は現実的ですか?
A. 現実的です。主任以上のポジション、院内保育所の夜勤あり、企業主導型保育園、東京都の家賃補助を活用するなど、方法次第で到達可能です。
Q. 転職で年収はどのくらい上がりますか?
A. ケースバイケースですが、年収で30〜80万円程度アップする方が多いです。特に家賃補助制度のある自治体への転職は実質的な収入増が大きいです。
Q. 未経験でも高給与の園に転職できますか?
A. 未経験だとスタート時の給与は低めになることが多いですが、処遇改善手当や家賃補助制度を活用すれば実質的な収入を底上げすることは可能です。
Q. 地方でも高給与の園はありますか?
A. 都市部と比べると給与水準は低めですが、その分家賃も安いため実質的な生活水準で考えるとそこまで差がないケースもあります。地方の院内保育所や企業主導型保育園は比較的高給与の傾向があります。
Q. キャリアアップ研修は受けたほうがいいですか?
A. 受けることを強くおすすめします。研修修了は処遇改善手当の増額に直結するだけでなく、転職時のアピールポイントにもなります。
まとめ:高給与の園は探し方次第で見つかる
- 保育士でも年収400万円以上は十分に実現可能
- 企業主導型保育園・院内保育所・処遇改善が手厚い園が狙い目
- 2026年度は5.3%の賃上げが実施されており追い風
- 転職サイトは複数登録して条件を比較検討するのが鉄則
- 給与交渉はエージェントに代行を依頼すると成功率が上がる
「保育士は給料が安い」と諦めるのはもったいないことです。園選びの視点を変えるだけで、年収が大きく変わる可能性があります。まずは転職サイトで高給与の求人を検索して、自分の市場価値を確認するところから始めてみてください。
処遇改善手当の仕組みを理解して給与アップにつなげよう
記事執筆時点での処遇改善等加算の仕組みを整理しておきましょう。
処遇改善等加算I
勤続年数に応じて基本的な処遇改善が行われる仕組みです。すべての保育施設が対象で、園の平均勤続年数に応じて加算率が決まります。
処遇改善等加算II
キャリアアップ研修を修了した保育士を対象に、役職に応じた手当が支給されます。副主任保育士・専門リーダーには月額4万円、職務分野別リーダーには月額5,000円が加算されます。
処遇改善等加算III
2022年に新設された加算で、保育士の収入を月額9,000円程度引き上げることを目的としています。

高給与の園への転職で気をつけるべきこと
給与だけで判断しない
月給が高くても、残業代込みの場合は実質的な時給が低い可能性があります。基本給・各種手当・残業代・賞与を分けて確認することが大切です。
離職率を確認する
給与が高いのに求人が頻繁に出ている園は、何か問題がある可能性があります。エージェントに離職率や退職理由を聞いてみましょう。
福利厚生も含めたトータルで判断する
住宅手当、通勤手当、退職金制度、研修制度など、福利厚生を含めたトータルの待遇で比較しましょう。月給が少し低くても、家賃補助で月8万円もらえる園のほうが実質的な収入は高くなります。
保育士の年収を上げるためのキャリア戦略
短期戦略:転職で一気に年収アップ
今の園で給与が上がる見込みがないなら、転職が最も即効性のある手段です。同じ経験年数でも園によって月収で5万円以上の差がつくことは珍しくありません。複数の転職サイトに登録して、今の自分の市場価値を把握することから始めましょう。
中期戦略:キャリアアップ研修で処遇改善手当を最大化
キャリアアップ研修を修了して副主任保育士や専門リーダーの役職に就けば、月額4万円の処遇改善手当が加算される可能性があります。年間で約48万円の収入増につながるため、研修未受講の方は積極的に受講を検討しましょう。
長期戦略:主任・園長を目指す
主任保育士や園長になれば、年収500万円以上も視野に入ります。管理職への道は長期的なキャリアプランが必要ですが、経験年数・研修修了・リーダー経験を積み重ねていくことで着実にステップアップできます。

保育士の最新の給与データはこども家庭庁の保育関連情報ページで確認できます。資格取得に関する情報は全国保育士養成協議会の公式サイトもあわせてチェックしてみてください。


