「持ち帰り仕事が当たり前」「毎日1〜2時間のサービス残業がある」――保育士の残業問題は深刻で、これが原因で離職を考えている方も少なくありません。
しかし、すべての園が残業だらけというわけではありません。働き方改革やICT化の推進によって、残業ゼロを実現している園は着実に増えています。園を変えるだけで、働き方がガラリと変わるケースも多いのです。記事執筆時点では、こども家庭庁が保育所のICT導入推進事業を進めており、業務効率化のためのシステム導入費用を国が補助しています。
この記事では、残業なしの求人を見つけるための具体的な方法と、残業が少ない園を見極めるポイントを詳しく解説していきます。

残業が少ない園に共通する5つの特徴
残業が少ない園にはいくつかの共通点があります。求人を探す際に、以下の特徴を持つ園を優先的にチェックしましょう。
ICT化が進んでいる園
保育記録や連絡帳をアプリやタブレットで管理している園は、事務作業の時間が大幅に短縮されています。コドモンやキッズリーといった保育ICTシステムを導入している園では、保育日誌の作成、保護者への連絡、出欠管理などがスマホやタブレットで完結するため、書類のために残業する必要がなくなります。
こども家庭庁の調査によると、ICT導入園では事務作業時間が導入前と比べて大幅に削減されたというデータが報告されています。
職員配置に余裕がある園
国の配置基準ギリギリではなく、基準以上の人員を確保している園は残業が少ない傾向があります。人員に余裕があれば、一人あたりの業務量が減り、勤務時間内に仕事を終えやすくなります。求人票で「職員数」を確認し、園児数に対して余裕のある人員配置をしているかどうかをチェックしましょう。

行事が少なめ・コンパクトな園
運動会、お遊戯会、発表会などの大規模イベントが多い園は、準備のために残業が発生しがちです。行事を最小限にしている園や、規模をコンパクトにしている園は、日常的な残業が少ない傾向にあります。最近は「子ども主体の保育」を掲げて行事を見直す園も増えており、保育士の負担軽減と保育の質の向上を両立させる動きが広がっています。
ノー残業デーを設けている園
制度として残業禁止の日を設けている園は、職場全体で帰りやすい雰囲気ができています。「水曜日はノー残業デー」など具体的なルールがある園は、働き方への意識が高い証拠です。
小規模保育園・企業内保育園
園児数が少ない小規模保育園や企業内保育園は、書類作業や行事準備の量が大規模園と比べて少なくなります。規模が小さい分、業務がシンプルになりやすく、定時退社しやすい環境が整っています。
- ICT化が進んでいる園は事務作業が大幅に削減される
- 職員配置に余裕がある園は一人あたりの負担が軽い
- 行事が少なめ・コンパクトな園は準備の残業が少ない
- ノー残業デーを設けている園は働き方への意識が高い
- 小規模園・企業内保育園は業務がシンプルで残業が少ない傾向
求人票で見るべき6つのチェックポイント
残業なしの園を見極めるためには、求人票の読み方も重要です。
| チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 残業時間 | 「残業月平均〇時間」と具体的な数字があるか |
| 持ち帰り仕事 | 「持ち帰り仕事なし」と明記されているか |
| ICT導入 | 保育ICTシステムの導入状況が書かれているか |
| 職員数 | 園児数に対して余裕のある配置か |
| 年間行事 | 行事の回数が過度に多くないか |
| 有給取得率 | 具体的な取得率が記載されているか |
ただし求人票の情報だけで判断するのは危険です。「残業なし」と書かれていても実態が異なるケースもあるため、面接や園見学で直接確認するのが最も確実な方法です。

残業なしの求人を見つけるための具体的なアクション
転職サイトで「残業なし」「残業月5時間以下」で絞り込む
多くの転職サイトでは残業時間で検索条件を絞り込めます。「残業なし」「残業月5時間以下」「持ち帰り仕事なし」などのキーワードで検索してみましょう。
エージェントに「残業ゼロの園だけ紹介してほしい」と明確に伝える
転職エージェントを利用する場合は、「残業が少ない園」ではなく「残業ゼロの園だけ紹介してください」と具体的に伝えることが大切です。曖昧な希望だと、月10時間程度の残業がある園も紹介される可能性があります。
園見学で帰宅時間を確認する
面接や園見学の際に、以下の質問をしてみましょう。
- 「先生方は普段何時頃に退勤されていますか?」
- 「持ち帰り仕事はありますか?」
- 「書類作業は勤務時間内に終わりますか?」
- 「ICTシステムは導入されていますか?」
これらの質問に対して具体的に答えてくれる園は、働き方に対する意識が高い証拠です。曖昧な回答しか返ってこない園は、実態として残業が多い可能性があります。
- 「残業少なめ」は園によって定義が異なる(月5時間〜月20時間まで様々)
- 求人票の情報だけで判断せず園見学で実態を確認する
- 持ち帰り仕事の有無は特に重要なチェックポイント
- ICT導入の有無は残業削減に直結する重要な要素
残業なしで働ける園の種類と特徴
小規模保育園(定員19名以下)
園児数が少ないため行事の規模も小さく、書類作業も少なめです。アットホームな環境でじっくり保育に取り組みたい方に向いています。
企業内保育園
企業の福利厚生として運営されているため、企業の労働基準が適用されることが多く、残業管理が厳格な傾向があります。定時退社が文化として根付いている園が多いです。
ICT先進園
保育ICTシステムを積極的に導入している園は、事務作業の効率化が進んでいます。タブレットで保育日誌を書いたり、アプリで保護者連絡を行ったりすることで、従来は残業で対応していた業務が勤務時間内に収まるようになっています。

よくある質問(Q&A)
Q. 残業なしの園は本当にありますか?
A. あります。特にICT化が進んだ小規模保育園や企業内保育園では、残業ゼロを実現している園が増えています。ただし「完全にゼロ」は難しい場合もあるため、月平均の残業時間で判断するのが現実的です。
Q. 残業なしの園は給与が低くなりませんか?
A. 残業代がなくなる分、月の手取りは減る可能性があります。しかし基本給が高い園や処遇改善手当が手厚い園を選べば、残業なしでも十分な収入を確保できます。時給換算で考えるとむしろ割が良いケースも多いです。
Q. 転職先の残業実態を事前に知る方法はありますか?
A. 転職エージェントに園の残業実態を聞く方法が効果的です。エージェントは園を直接訪問して情報を得ているため、求人票よりリアルな情報を教えてもらえます。園見学での直接確認も重要です。
Q. パートなら残業はないですか?
A. パートの場合は基本的に契約時間内での勤務となるため、残業が発生しにくいです。ただし行事前など繁忙期には延長をお願いされるケースもあるため、契約時に残業の有無を確認しておきましょう。
まとめ:残業なしの園は探し方次第で見つかる
- 残業ゼロを実現している園はICT化や働き方改革の推進で増加中
- ICT導入・職員配置に余裕がある・行事が少ない園が狙い目
- 求人票の「残業少なめ」を鵜呑みにせず園見学で実態を確認する
- 転職エージェントに具体的な残業時間の希望を明確に伝える
- 小規模園・企業内保育園は残業が少ない傾向が強い
残業に悩んで保育士を辞めるのは、もったいない選択かもしれません。園を変えるだけで、ワークライフバランスが劇的に改善するケースは多いです。まずは転職サイトで「残業なし」の条件で検索して、どんな求人があるか確認するところから始めてみてください。
残業が多い園から転職する際のステップ
ステップ1:現状の残業時間を記録しておく
毎日の出勤・退勤時間を1ヶ月分記録しておきましょう。転職活動で「今の園は月〇時間の残業がある」と具体的に伝えることで、コンサルタントも条件に合った園を探しやすくなります。
ステップ2:転職サイトに登録して情報収集を始める
すぐに転職する決心がつかなくても、まずは登録して「残業なし」の条件で検索してみましょう。どんな園があるのかを知るだけでも、転職への一歩になります。
ステップ3:エージェントに残業の希望を具体的に伝える
「残業が少ない園」ではなく「残業月5時間以下」「持ち帰り仕事なし」と数字で伝えるのがポイントです。曖昧な希望だと、コンサルタントの判断で月15時間程度の残業がある園も紹介される可能性があります。
ステップ4:園見学で働き方を直接確認する
面接や園見学の際に、実際の退勤時間やICT導入状況を確認しましょう。夕方の時間帯に園を訪問できれば、職員が実際に何時に帰っているかを自分の目で確認できます。

残業なしの園で働くメリット
プライベートの充実
定時で帰れるようになると、趣味や家族との時間、自己研鑽の時間を確保できます。ワークライフバランスが整うことで、仕事へのモチベーションも上がる好循環が生まれます。
心身の健康維持
慢性的な残業は身体だけでなく精神面にも大きな負担をかけます。残業がなくなることで、十分な睡眠時間を確保でき、心身ともに健康な状態で保育に臨めるようになります。
保育の質の向上
疲労が蓄積した状態では、子どもへの対応にも影響が出ます。残業なしで体力と気持ちに余裕を持てるようになると、保育の質そのものが向上するという好循環が生まれます。これは子どもにとっても保育士にとってもプラスです。
保育士の働き方に関する最新情報はこども家庭庁の保育関連情報ページで確認できます。保育ICTに関する情報はこども家庭庁の公式サイトも参考になります。


