保育士試験の筆記をクリアしたあと、次に待っているのが実技試験です。「どの分野を選べばいいの?」「何を準備すればいいの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
実技試験は音楽・造形・言語の3分野から2つを選んで受験する仕組みになっています。筆記試験と比べると合格率は高めですが、油断は禁物。しっかり対策すれば、着実に合格を掴める試験です。
この記事では、保育士試験の実技試験について、各分野の内容・対策のコツ・分野の選び方まで詳しく解説していきます。

保育士試験の実技試験とは?基本情報をおさらい
保育士試験は筆記試験(9科目)と実技試験(2分野選択)の2段階で構成されている国家試験です。筆記試験に全科目合格すると、実技試験に進む資格が得られます。
実技試験では、音楽表現・造形表現・言語表現の3分野から2つを選んで受験します。それぞれ50点満点で、各分野30点以上を得点すれば合格です。
3分野の内容と過去の出題をまとめて確認したい方は、実技試験の対策本を1冊用意しておくと全体像をつかみやすくなります。最新年度の課題に対応した版かどうかを確認してから選びましょう。
実技試験の基本データ
・選択方式:3分野から2つを選ぶ
・配点:各分野50点満点
・合格ライン:各分野30点以上
・合格率:約80%(筆記よりかなり高い)
・試験時間:分野ごとに異なる
合格率は約80%と高めですが、裏を返せば5人に1人は不合格になっているということです。特に準備不足のまま臨むと、思わぬ減点で不合格になるケースもあるので、計画的に対策していきましょう。
音楽表現(弾き歌い)の試験内容と対策
試験内容
音楽表現の試験では、ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかを使って課題曲2曲の弾き歌いを行います。楽器は受験申請時に選択しますが、実際にはピアノを選ぶ方がほとんどです。
試験では、子どもたちの前で歌っている場面を想定した演奏が求められます。技巧的な演奏力よりも、保育の場で子どもと一緒に楽しく歌える力が重視されるのが特徴です。
合格するためのコツ
音楽表現で合格するためのポイント
・止まらずに最後まで弾ききることが最優先
・テンポは速すぎず、子どもが歌えるペースで
・伴奏は簡単なアレンジでOK(コード伴奏でも可)
・歌声は明るくハキハキと、笑顔を意識する
・間違えても弾き直さずにそのまま進む
ピアノが苦手な方は、シンプルなコード伴奏で練習するのがおすすめです。右手でメロディ、左手で和音を押さえるだけの簡単なアレンジでも、止まらず歌いきれれば十分合格できます。大切なのは正確さよりも「保育の場で使える演奏」であることです。
練習の際は、本番と同じ環境を意識しましょう。自宅だけでなく、スタジオやピアノ教室で人前で弾く練習をしておくと、本番の緊張対策になります。
自宅にピアノがない方は、場所を取らないキーボードを用意しておくと毎日の弾き歌い練習がしやすくなります。
造形表現(絵画制作)の試験内容と対策
試験内容
造形表現の試験では、当日出題されるテーマに沿って、45分間で保育の一場面を描くという内容です。A4サイズの用紙に、鉛筆または色鉛筆を使って描きます。テーマは当日にならないとわからないため、事前に課題曲がわかる音楽とは対策の方法が異なります。
過去には「園庭での外遊び」「給食の場面」「絵本の読み聞かせ」「水遊び」などが出題されています。
合格するためのコツ
造形表現で合格するためのポイント
・保育士1名以上+子ども2名以上を必ず描く
・全員の表情は笑顔で、楽しそうな雰囲気を出す
・背景(園庭・教室など)もしっかり描き込む
・色は12色以上使って画面を明るくする
・45分で完成させるための時間配分を練習する
造形が苦手な方でも、「型」を用意しておけば対応できます。子どもの顔の描き方、体のバランス、室内・屋外の背景パターンなどを練習しておけば、どんなテーマが出ても組み合わせて対応できるようになります。
練習のコツは、さまざまな保育場面を想定して1日1枚描くことです。最初は時間がかかっても、繰り返すうちに45分以内で仕上げられるようになります。
12色以上を使って描くためにも、練習の段階から色数に余裕のある24色程度の色鉛筆を使っておくと本番と同じ感覚で取り組めます。

言語表現(口演)の試験内容と対策
試験内容
言語表現の試験では、3歳児クラスの子ども15人程度を想定して、3分間でお話をするという内容です。あらかじめ指定された課題の中から1つを選んで準備します。
お話は台本を見ずに行い、絵本や紙芝居などの道具は使えません。声と身振り手振りだけで子どもたちにお話を届ける力が試されます。
合格するためのコツ
言語表現で合格するためのポイント
・3分間に収まるようにお話をアレンジする
・声の大きさ・トーンに変化をつけて抑揚を出す
・登場人物ごとに声色を変えて演じ分ける
・目線は正面を見て、子どもたちに語りかける意識で
・ゆっくりハキハキと話す(早口はNG)
言語表現で特に大切なのは時間管理です。3分間ちょうどで終わるようにお話を構成し、何度も練習して体に染み込ませましょう。2分30秒〜3分の間で終わるのがベストです。
練習の際はスマートフォンで自分の発表を録画して確認するのが効果的です。表情や声のトーン、身振り手振りの自然さなど、客観的に見ることで改善点が見つかります。
お話の構成に迷ったら、言語表現や素話向けにまとめられた本で、3分に収まる語り方の例を参考にしてみるのも一つの方法です。
分野の選び方|どの2つを選ぶのがベスト?
3分野のうちどの2つを選ぶかは、合否に大きく影響します。自分の得意・不得意を冷静に分析して選びましょう。
音楽を選ぶのに向いている人
ピアノやギターの演奏経験がある方は、音楽を選ぶと有利です。初心者でもコード伴奏なら数ヶ月の練習で対応可能ですが、まったく楽器に触れたことがない方は時間がかかる可能性があります。
コード伴奏で練習するなら、簡単なアレンジが載った保育向けの弾き歌い楽譜を使うと取り組みやすくなります。
造形を選ぶのに向いている人
絵を描くのが好きな方、美術の授業が得意だった方におすすめです。当日まで何が出るかわからないぶん、パターン練習を重ねる必要がありますが、楽器が弾けない方にとっては音楽よりハードルが低いケースが多いです。
言語を選ぶのに向いている人
人前で話すのが得意な方、読み聞かせの経験がある方に向いています。道具も楽器も不要で、声と体だけで勝負できるのが魅力です。

実技試験でよくある失敗パターンと対策
合格率が高いとはいえ、実技試験で不合格になる人には共通点があります。同じ失敗をしないために、よくあるパターンを把握しておきましょう。
練習不足で本番に臨む
「合格率80%だから大丈夫だろう」と油断して、十分な練習をせずに本番を迎えるケースです。実技試験は繰り返し練習して体に染み込ませることが大前提。最低でも1ヶ月前から毎日練習する習慣をつけましょう。
時間オーバー・時間不足
特に言語表現で多い失敗です。3分間という制限時間は、練習なしでは長すぎたり短すぎたりしがちです。必ずタイマーを使って練習し、時間感覚を身につけてください。
緊張で頭が真っ白になる
家族や友人の前で練習する、動画を撮って人に見せるなど、「人に見られる」経験を積んでおくと緊張対策になります。本番では深呼吸をしてから入室し、落ち着いて臨みましょう。
実技試験までの効果的な準備スケジュール
筆記試験の合格発表から実技試験まで、およそ2ヶ月の準備期間があります。この期間を有効に使って対策を進めましょう。
準備スケジュールの目安
・2ヶ月前〜1ヶ月半前:試験内容の確認、教材の準備、基礎練習開始
・1ヶ月半前〜1ヶ月前:毎日の反復練習、苦手ポイントの克服
・1ヶ月前〜2週間前:通し練習、時間を測っての本番形式練習
・2週間前〜前日:仕上げの練習、本番のシミュレーション
筆記試験の結果が出る前から実技の準備を始めておくと、余裕を持って取り組めます。「筆記に落ちていたらムダになる」と思わず、筆記の手応えがあれば早めにスタートするのが合格の秘訣です。
Q&Aコーナー|実技試験のよくある疑問

Q. 実技試験は独学でも合格できる?
独学でも合格は可能です。YouTubeなどで合格者の実演動画を参考にしたり、テキストで対策ポイントを押さえたりすれば、十分に対策できます。ただし、音楽表現でピアノ初心者の方は、短期間でもピアノ教室に通うと上達が早いです。
Q. 実技試験の服装に決まりはある?
特に服装の指定はありませんが、動きやすく清潔感のある服装がおすすめです。スーツである必要はなく、保育の現場をイメージしたカジュアルすぎない服装で臨みましょう。
Q. 実技試験に落ちたらどうなる?
実技試験に不合格だった場合は、次回の試験で再受験できます。筆記試験の合格科目は合格した年を含めて3年間有効なので、その期間内であれば筆記を受け直す必要はありません。
Q. 造形で使う色鉛筆はどのメーカーがおすすめ?
発色がよく、広い面を塗りやすい色鉛筆が向いています。練習の段階からさまざまなメーカーを試して、自分の手に馴染むものを見つけておくと本番で安心です。24色セット程度あれば十分に対応できます。
まとめ
保育士試験の実技試験は、音楽・造形・言語の3分野から2つを選んで受験する試験です。合格率は約80%と高めですが、しっかり準備すれば着実に合格を掴めます。
大切なのは、自分に合った分野を選ぶことと、本番を想定した反復練習を十分に行うことです。技巧的な完成度よりも、「保育の場で子どもたちを楽しませる力」が評価されるという視点を忘れずに、自信を持って本番に臨んでください。
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外部参考リンク:一般社団法人 全国保育士養成協議会(保育士試験の公式情報)
外部参考リンク:厚生労働省 保育関連情報



