「なかなか寝てくれない子がいる」「寝かしつけに時間がかかりすぎる」――午睡の時間に悩む保育者は少なくありません。寝かしつけはテクニックだけでなく、午前中の活動や環境設定も含めた総合的なアプローチが大切です。
この記事では、子どもがスムーズに眠りにつくための環境づくりと具体的な寝かしつけテクニックを紹介します。午睡の時間が安定すると、保育全体のリズムが整い、保育者の業務にもゆとりが生まれます。

午睡前の環境づくり
室内環境の整備
- カーテンを閉めて薄暗くする:完全に真っ暗にする必要はないが、外光を遮ることでリラックスしやすくなる
- 室温の調整:夏場は26〜28度、冬場は20〜22度が目安
- 静かな環境を作る:テレビやラジオの音は消す。小さな声のオルゴール音楽は効果的
- 布団の配置:子ども同士の距離を適度に取り、おしゃべりしにくい配置にする
午前中の活動で体を動かす
午前中に十分に体を動かしている子どもほど、午睡でスムーズに入眠できます。外遊びや運動遊びを活動に取り入れ、適度な疲労感を持たせることが午睡の質につながります。
食事から午睡への流れを安定させる
食事→着替え→排泄→絵本の読み聞かせ→午睡、という流れを毎日同じにすると、子どもは「次は寝る時間だ」と自然に体が準備モードに入ります。ルーティンの力は大きいです。以下の記事もぜひご覧ください。

年齢別の寝かしつけテクニック
0歳児の寝かしつけ
- 抱っこでゆらゆら:保育者の心拍や体温を感じて安心する
- 背中トントン:一定のリズムで優しくトントンする。母親の心拍のリズムに近い速さがベスト
- おくるみで包む:安心感が得られる。ただし暑くなりすぎないよう注意
- 子守唄:小さな声で歌うことでリラックスを促す
1〜2歳児の寝かしつけ
- そばに座って見守る:保育者がそばにいる安心感だけで眠れる子も多い
- 背中をさする:優しくゆっくりと背中をさする
- お気に入りのタオルやぬいぐるみ:安心できるアイテムを持たせる
- 静かに声をかける:「おやすみ。先生はここにいるよ」と安心させる
3〜5歳児の寝かしつけ
- 絵本の読み聞かせ:静かな絵本を1〜2冊読んでから横になる
- 横になってからの声かけ:「目を閉じてごらん」「深呼吸してみよう」
- 音楽を流す:オルゴールや自然音のBGMを小さな音量で流す
- 待つ姿勢:すぐに寝なくても焦らず、リラックスした雰囲気を保つ


午睡の入眠ルーティンの作り方
スムーズな入眠のために最も効果的なのは、毎日決まったルーティンを作ることです。子どもの体が「この流れが来たら寝る時間」と自然に認識するようになります。
おすすめのルーティン例を紹介します。まず食事が終わったら着替えと排泄を済ませます。次に、布団に横になる前に保育室を薄暗くし、静かなオルゴール音楽を流します。そして絵本を1〜2冊読み聞かせてから「おやすみなさい」の声かけで横になります。この流れを毎日変えずに繰り返すことがポイントです。
1歳児クラスでは、タオルやぬいぐるみなどの「安心アイテム」を活用する方法も効果的です。家庭から持参したタオルを握って眠る子も多く、その子にとっての「安心の手がかり」になっています。ただし、0歳児の場合は窒息の危険があるため、顔の近くに柔らかいものを置かないよう注意が必要です。以下の記事で具体的に解説しています。



入眠に時間がかかる子には、背中をゆっくりさする「8の字マッサージ」がおすすめです。背中に「8」の字を描くように手のひらでさすると、リラックス効果が高まります。力を入れすぎず、ゆったりとした速度で行うのがコツです。
なかなか寝ない子への対応
寝ない原因を探る
- 午前中の活動量は十分だったか
- 昼食の量や時間は適切だったか
- 家庭での就寝時間が遅く、睡眠リズムが崩れていないか
- 体調不良や心配事がないか
- 成長に伴い午睡が必要なくなってきている可能性はないか
寝つきの悪さは複合的な要因が絡んでいることが多いです。保育者間で情報を共有し、「今日は外遊びが少なかった」「朝ごはんを食べてこなかったようだ」など、原因のパターンを把握していくと対策が見えてきます。連絡帳や送迎時の会話で家庭の様子も確認し、夜の就寝が22時以降になっている場合は保護者と一緒に生活リズムの見直しを検討しましょう。厚生労働省の調査では、3歳児の理想的な夜間睡眠時間は10〜12時間とされており、午睡は1〜2時間が目安です。
寝ない子への具体的な対応
- 横になることだけを促し、眠れなくても目を閉じて体を休める時間にする
- 静かに過ごせるなら、絵本を読むなどの代替活動を認める
- 「寝なさい」と何度も叱らない。寝ることが嫌な体験にならないよう配慮する
- 就学に向けて午睡をなくす園も増えている
- 午睡を設けるかどうかは、子どもの様子と園の方針で判断する
- 午睡をなくす場合は、静かに過ごす「休息タイム」を設ける
午睡中の安全管理(SIDS予防)
午睡中の安全管理は、命を守る最も重要な業務です。乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防を最優先にしましょう。詳細は以下の記事にまとめています。



- 仰向け寝の徹底:うつぶせ寝は絶対に避ける
- 定期的なブレスチェック:0歳児は5分ごと、1〜2歳児は10分ごとに呼吸確認
- 顔の周りに柔らかいものを置かない:タオルやぬいぐるみが顔にかからないよう注意
- 体温の確認:布団のかけすぎによる体温上昇に注意
- チェック記録の徹底:確認した時間と子どもの状態を記録する
- 午睡チェック中に他の業務に集中しすぎないこと
- うつぶせ寝を好む子は、寝入ってから仰向けに戻す
- 午睡チェックセンサーを導入している場合も、目視確認を省略しない


参考になる外部資料
- こども家庭庁|保育に関する政策
- 厚生労働省|乳幼児突然死症候群(SIDS)について(www.mhlw.go.jp・サイト終了)
- ほいくis|午睡と寝かしつけの実践記事
よくある質問(Q&A)
Q. 寝かしつけに30分以上かかる子がいます。どうすればいいですか?
まず午前中の活動量を見直しましょう。体が十分に疲れていないと寝つきが悪くなります。また、家庭での就寝時間を保護者に確認し、生活リズム全体を見直す必要があるかもしれません。
Q. 保護者から「午睡をさせないでほしい」と言われました。
家庭での就寝時間への影響を心配しているケースが多いです。園の方針を説明しつつ、午睡時間を短くする、早めに起こすなどの対応を提案しましょう。子どもの体調や日中の様子を見ながら柔軟に対応することが大切です。
Q. 午睡中に泣き出す子への対応は?
すぐにそばに行き、「大丈夫だよ」と声をかけて安心させましょう。背中をさすったり、抱っこしたりして落ち着かせます。悪夢を見ている場合もあるので、優しく対応しましょう。
Q. 午睡チェックの記録が面倒です。効率化する方法はありますか?
午睡チェックセンサーとICTシステムを組み合わせると記録が自動化されます。こども家庭庁の補助金制度でセンサー導入の支援も受けられます。ただし、機器に頼りすぎず目視確認は必ず行いましょう。
Q. 年長クラスで午睡を嫌がる子が増えました。
年長児は体力がつき、午睡が不要になってくる子も多いです。園の方針と相談のうえ、午睡を「休息タイム」に切り替え、横になって体を休める時間として設定するのも一つの方法です。
まとめ
午睡の寝かしつけは、環境づくり・午前の活動量・ルーティンの安定の3つが鍵です。焦らず、リラックスした雰囲気を作ることが最も効果的な寝かしつけテクニックです。
そして何より、午睡中のSIDS予防を含む安全管理は最重要業務です。ブレスチェックを怠らず、子どもの命を守る意識を常に持ち続けましょう。


