「保育園の仕事は好きだけど、もっと幅広い年齢の子どもと関わりたい」「行事の負担が少ない職場で働きたい」そんなふうに考えたことはありませんか。保育士の資格を活かして働ける場所は保育園だけではありません。その中でも注目されているのが児童館です。
児童館は0歳から18歳までの子どもを対象とした施設で、遊びや学びを通して子どもの健全な育成を支援しています。保育園とは異なる環境で、保育士としてのスキルを存分に発揮できる職場です。
この記事では、保育士から児童館への転職を考えている方に向けて、仕事内容や給料の実態、転職のポイントまで詳しく解説していきます。

児童館とは?基本的な役割と種類
児童館は児童福祉法第40条に基づく児童厚生施設のひとつです。子どもたちに健全な遊びの場を提供し、その心身の健やかな成長を支えることを目的としています。
児童館には主に以下の種類があります。
- 小型児童館:地域に根差した小規模な施設。遊びの場の提供や子育て相談を行う
- 児童センター:小型児童館の機能に加え、体力増進に関する活動を充実させた施設
- 大型児童館:広域的なエリアをカバーし、年齢に応じた多彩なプログラムを展開する施設
全国には約4,300か所の児童館があり(こども家庭庁 児童館について参照)、地域の子育て支援の拠点として重要な役割を担っています。
児童館の仕事内容|保育園とどう違う?
児童館で働くスタッフは「児童厚生員」と呼ばれ、保育士資格があれば無試験で児童厚生員として勤務できるケースがほとんどです。具体的な仕事内容を見ていきましょう。
日常的な業務
- 遊びの見守りと支援:来館した子どもたちが安全に遊べるよう見守り、一緒に遊びながら成長をサポートします
- イベントの企画・運営:工作教室、読み聞かせ、スポーツ大会など、年齢に合わせた行事を企画・実施します
- 子育て相談対応:乳幼児の保護者からの育児相談に対応し、必要に応じて専門機関へつなぎます
- 地域連携:学校やボランティア団体、地域住民と連携して活動を推進します
- 施設の管理・運営:利用者の受付、施設の清掃、備品管理などの事務作業も含まれます
保育園との大きな違い
- 対象年齢が0歳〜18歳と幅広い
- 基本的に日中の開館時間のみの勤務(早朝・延長保育なし)
- 保護者から子どもを預かるのではなく、子ども自身が自由に来館する
- 連絡帳や指導計画など書類業務が比較的少ない
- 食事の提供や排泄介助といった生活援助は基本的にない

児童館で働くために必要な資格
児童館で働く児童厚生員になるためには、以下のいずれかの資格・条件を満たす必要があります。
- 保育士資格を持っている方
- 社会福祉士の資格を持っている方
- 教員免許(幼稚園・小学校・中学校・高校いずれか)を持っている方
- 大学で社会福祉学・心理学・教育学・体育学などを専修する学科を修了した方
- 高等学校を卒業し、2年以上児童福祉事業に従事した方
つまり、保育士資格を持っている方は追加の資格取得なしで児童館への転職が可能です。保育士としてのスキルがそのまま活かせるのは大きなメリットといえます。
児童館の給料・年収はどれくらい?
児童館で働く際の給料は、雇用形態や地域、運営主体(公設・民設)によって大きく異なります。
正社員の場合
求人ボックスの調査データによると、児童館職員の平均年収は約344万円で、月給換算で約29万円です。初任給は20万円前後が一般的な水準となっています。
公設と民設の違い
公設の児童館(自治体が直接運営)で働く場合は、地方公務員として採用されるため、安定した給与体系が期待できます。一方で、指定管理者制度により民間企業やNPO法人が運営するケースも増えており、給与水準は運営主体によって差があります。
パート・アルバイトの場合
時給は1,100円〜1,300円程度が相場です。地域によって差がありますが、都市部では1,200円以上のところも珍しくありません。
保育園と比較すると、児童館の給与水準はやや低めの傾向があります。保育士の平均年収が約427万円であるのに対し、児童館は約344万円です。給与面だけでなく、業務内容やワークライフバランスを含めた総合的な判断が大切です。
児童館で働くメリット・やりがい
メリット
- 幅広い年齢の子どもと関われる:乳幼児から中高生まで、成長段階の異なる子どもたちと接することができます
- 勤務時間が比較的規則的:多くの児童館は9時〜17時台の開館で、早朝・夜間勤務が少ない傾向です
- 行事準備の負担が軽い:保育園のような大規模な発表会や運動会がないため、精神的な負担が減ります
- 地域に貢献できる:子育て支援の拠点として、地域全体を支える実感が得られます
やりがいを感じる瞬間
- 乳幼児だった子どもが成長して小学生になっても通ってくれるとき
- 自分が企画したイベントに多くの子どもや保護者が参加してくれたとき
- 保護者から「相談してよかった」と感謝されたとき
- 地域の方々と協力してひとつのイベントを成功させたとき

児童館で働くデメリット・注意点
- 給与面は保育園より低い傾向:処遇改善加算の対象になりにくく、保育園ほどの給与上昇が見込めないことがあります
- 正社員の求人が少ない:指定管理者制度の導入により、契約社員やパートの募集が多い傾向です
- 対象年齢が広い分の難しさ:小学生や中高生への対応には、保育園とは異なるコミュニケーションスキルが求められます
- 利用者が流動的:毎日同じ子どもが来るわけではないため、信頼関係の構築に時間がかかることがあります
保育士から児童館への転職を成功させるポイント
求人の探し方
児童館の求人は保育専門の転職サイトだけでなく、自治体の広報やホームページにも掲載されることがあります。特に公設の児童館は自治体の採用試験を受ける必要があるため、こまめに情報をチェックしましょう。
- 保育士向け転職サイトで「児童館」のキーワードで検索する
- 自治体のホームページで公設児童館の採用情報を確認する
- 指定管理者として運営しているNPO法人や企業の採用ページもチェックする
- ハローワークの求人検索も活用する
志望動機のポイント
面接では、なぜ保育園ではなく児童館を選んだのかを明確に伝えることが大切です。「幅広い年齢の子どもと関わりたい」「地域の子育て支援に貢献したい」といった前向きな理由を具体的なエピソードを交えて伝えましょう。
事前に確認すべきこと
- 雇用形態(正社員・契約社員・パート)と契約期間
- 給与体系と昇給の有無
- 勤務時間と休日(土日開館の場合はシフト制の可能性あり)
- 運営主体(公設か民設か、指定管理者制度かどうか)
児童館への転職が向いている人の特徴
以下のような方は、児童館への転職で満足度の高いキャリアチェンジができる可能性が高いです。
- 幅広い年齢の子どもと関わりたい方
- 書類業務よりも子どもと直接関わる時間を増やしたい方
- 地域の子育て支援に興味がある方
- 規則的な勤務時間を重視する方
- イベントの企画や運営が好きな方

よくある質問(Q&A)
Q. 児童館で働くのに保育士以外の資格は必要ですか?
A. 保育士資格があれば児童厚生員として勤務できます。追加の資格は必須ではありませんが、社会福祉士や放課後児童支援員の資格があると採用で有利になることがあります。
Q. 児童館の勤務時間はどのくらいですか?
A. 多くの児童館は午前9時〜午後5時台の開館で、勤務時間もこの範囲に収まるのが一般的です。ただし、土日に開館している施設ではシフト制になることもあります。
Q. 保育園と児童館、どちらが働きやすいですか?
A. 一概にはいえませんが、書類業務の少なさや勤務時間の規則性を重視するなら児童館が合っている可能性があります。一方、給与面や雇用の安定性は保育園のほうが有利な場合が多いです。自分の優先事項に合わせて選ぶことが大切です。
Q. 児童館の求人は少ないですか?
A. 保育園と比較すると求人数は少なめです。特に正社員の募集は限られているため、転職サイトに加えて自治体の採用情報やNPO法人の求人もチェックすることが重要です。
まとめ
児童館は、保育士資格を活かしながら幅広い年齢の子どもと関わることができる魅力的な職場です。保育園と比べて書類業務が少なく、勤務時間が規則的である反面、給与面ではやや低い傾向があるのが実情です。
転職を検討する際は、給料だけでなく仕事内容ややりがい、ワークライフバランスを含めた総合的な視点で判断することが大切です。まずは児童館の見学やボランティアに参加して、実際の雰囲気を体感してみてはいかがでしょうか。
児童館での仕事に興味がある方は、一般財団法人 児童健全育成推進財団のサイトで全国の児童館情報を確認できます。また、保育士向け転職サイトで「児童館」と検索すると、最新の求人情報を見つけることができるでしょう。



