乳児院は、さまざまな事情で家庭で育てられない乳幼児を24時間体制で養育する児童福祉施設です。保育士の中でも特に使命感を持って働ける場所として、関心を寄せる方が増えています。
「子どもの親代わりになる」という仕事の重みは、保育園とは比べものになりません。精神的にタフな場面も多いですが、その分やりがいは何物にも代えがたいものがあります。乳児保育の専門スキルを極めたい方にとって、この上ない環境です。
この記事では、乳児院の仕事内容からやりがい・大変さの両面、具体的な転職方法まで詳しくお伝えします。転職前に知っておくべきことを網羅していますので、最後まで読んでみてください。

乳児院とはどんな施設なのか
乳児院は、さまざまな事情で家庭で育てられない乳幼児(0歳〜おおむね2歳)を24時間体制で養育する児童福祉施設です。保護者の入院、虐待、ネグレクト、育児困難など、入所の理由はさまざまです。
全国に約140か所あり、約3,000人の子どもたちが生活しています。1施設あたりの定員は20〜40名程度が多く、ユニット制(小規模グループ)を導入して家庭的な環境づくりを進めている施設が増えています。近年は「できるだけ家庭に近い環境で」という方針が強まり、少人数でのきめ細かい養育が主流になりつつあります。以下の記事もぜひご覧ください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 0歳〜おおむね2歳(必要に応じて就学前まで) |
| 入所理由 | 虐待・ネグレクト・保護者の疾病・養育困難など |
| 施設数 | 全国約140か所 |
| 勤務形態 | 24時間交代制(日勤・夜勤あり) |
| 職員配置 | 保育士・看護師・栄養士・家庭支援専門相談員など |
| 退所先 | 家庭復帰・里親委託・児童養護施設への措置変更など |


乳児院での保育士の仕事内容
乳児院での保育士の仕事は、保育園の「保育」とは質が異なります。子どもたちの24時間の生活すべてを支える「養育」が中心です。
- 授乳・離乳食・食事の介助
- 入浴・着替え・おむつ交換
- 睡眠の見守り・夜泣き対応
- 発達に合わせた遊びや関わり
- 愛着形成のサポート(特定の大人との安定した関係づくり)
- 家庭復帰に向けた保護者支援
- 里親委託に向けた準備・引き継ぎ
- 関係機関(児童相談所・病院等)との連携
保育園では「保護者が迎えに来る」のが前提ですが、乳児院では職員が親の代わりとなって子どもの生活全般を支えます。この違いが、仕事のやりがいと重みの両方に直結しています。特に愛着形成のサポートは、乳児院ならではの重要な業務です。特定の職員が担当児と安定した関係を築くことで、子どもの心の安全基地をつくります。


乳児院で働くメリット
深いやりがいを感じられる
家庭に恵まれない子どもたちの親代わりとしての役割は、他のどの施設でも味わえない深いやりがいがあります。子どもの笑顔や成長の一つひとつが、自分の存在意義を実感させてくれます。「この子のために自分がいる」という感覚は、何物にも代えがたい経験です。
乳児保育のスキルが極まる
0〜2歳児に特化した環境で、乳児保育の専門スキルを徹底的に磨けます。授乳・離乳食・睡眠・発達の見立てなど、乳児に関するあらゆる知識と技術が身につきます。この経験は保育士としてのキャリア全体を通じて大きな財産になります。以下の記事で具体的に解説しています。



夜勤手当で収入アップが見込める
24時間体制のため夜勤手当がつきます。月収ベースで3万〜5万円程度のアップが見込めるのは、経済面での魅力です。年間にすると36万〜60万円の上乗せになるため、保育園時代より年収が上がるケースも珍しくありません。
チームで支え合える環境
看護師や栄養士、家庭支援専門相談員など、多職種のスタッフが配置されています。保育士だけで抱え込むことなく、チームで子どもを支える体制が整っている施設が多いです。困ったときに相談できる仲間がいるのは、精神的にも大きな支えになります。
乳児院で働くデメリット・覚悟が必要なこと
精神的な負荷が大きい
虐待を受けた子どもや愛着障害のある子どもとの関わりは、精神的にきつい場面があります。子どもが退所していく際の別れも繰り返し経験するため、感情のコントロールが求められます。自分の気持ちを適切に処理する力が必要です。
不規則な勤務で体力が必要
24時間シフトのため生活リズムが不規則になりがちです。夜勤中は子どもの夜泣き対応や体調急変への対応もあるため、体力管理の意識が欠かせません。
- 虐待を受けた子どもとの関わりは精神的な負荷が大きい
- 子どもとの別れ(退所)を繰り返し経験する覚悟が必要
- 24時間シフトで生活リズムが崩れやすい
- 自分自身のメンタルケアを意識的に行う必要がある
- スーパービジョン体制の有無を必ず確認する


乳児院への具体的な転職方法
- 各乳児院のHPで直接求人を確認:施設のHPに採用情報が掲載されていることが多い
- 社会福祉事業団の求人をチェック:公立の乳児院は自治体の社会福祉事業団が運営している
- 転職サイトで「乳児院」を検索:保育士ワーカーやジョブメドレーが便利
- 施設見学を申し込む:実際の養育環境を自分の目で確認する
- ボランティアに参加:可能であれば転職前に雰囲気を体験する
乳児院の求人は一般の保育園と比べると数が少ないため、こまめに求人情報をチェックする姿勢が大切です。欠員補充のタイミングで募集が出ることが多いので、希望する施設には事前に「採用予定があれば連絡してほしい」と伝えておくのも有効な方法です。詳細は以下の記事にまとめています。



全国乳児福祉協議会の公式サイトで全国の乳児院の一覧を確認できます。施設ごとの特徴や養育方針も掲載されているので、転職活動の参考にしてください。
よくある質問(Q&A)
Q. 乳児院で働くのに保育士資格以外に必要な資格はありますか?
A. 保育士資格があれば応募可能です。追加の資格は必須ではありませんが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格があると、家庭支援や保護者対応の場面で役立ちます。
Q. 乳児院の給与はどのくらいですか?
A. 月給20万〜26万円程度が相場です。夜勤手当を含めると月収25万〜30万円程度になるケースもあります。公立の施設は公務員準拠の給与体系で安定しています。
Q. 男性でも乳児院で働けますか?
A. もちろん働けます。男性保育士は少数派ですが、近年は増加傾向にあります。子どもにとって男性の養育者の存在は大切で、歓迎されることが多いです。
Q. 乳児院での経験は転職市場で評価されますか?
A. 高く評価されます。乳児保育の専門スキル、24時間体制での養育経験、虐待を受けた子どもへの対応力は、どの保育施設でも重宝されるスキルです。
Q. 子どもとの別れがつらいと聞きますが、実際はどうですか?
A. つらい面があるのは事実です。ただ、家庭復帰や里親委託は子どもにとって良い方向への一歩であり、「送り出す喜び」として捉えている職員も多いです。
Q. 乳児院から他の施設に転職する場合、経験は活かせますか?
A. 乳児保育の経験は、保育園の0歳児・1歳児クラスはもちろん、児童発達支援や子育て支援センターでも高く評価されます。24時間養育の経験は、どの現場でも通用する実力の証明になります。
まとめ:乳児院は使命感を持って働ける特別な場所
- 24時間体制で子どもの生活全般を支える「養育」の仕事
- 乳児保育の専門スキルを極められる環境
- 他の施設では味わえない深いやりがいがある
- 夜勤手当で収入アップが見込める
- 精神的な負荷への覚悟とセルフケアの意識が必要
- チームのサポート体制が整った施設を選ぶことが重要
精神的にタフな面もありますが、子どもたちの成長を支える仕事は何物にも代えがたい価値があります。乳児保育に情熱がある方は、ぜひ検討してみてください。
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