「保育ICTって何ができるの?」「導入すると本当に楽になるの?」「コストが心配」――ICTシステムの導入を検討している方や、導入を園に提案したい方のために、保育ICTの具体的なメリットと導入のポイントを徹底的に解説します。
こども家庭庁はすべての保育施設へのICT導入を推進しており、補助金制度も充実しています。ICT化は「あったらいいな」ではなく「なくてはならない」時代に突入しています。

保育ICTシステムとは
保育ICTシステムとは、保育園の業務をデジタル化して効率化するためのツールの総称です。出欠管理、連絡帳、指導計画、写真販売、シフト管理など、これまで手作業で行っていた業務をシステム化することで、保育者の負担を大幅に軽減します。
主なICTシステムの機能
- 出欠管理:保護者がアプリで欠席・遅刻を連絡。朝の電話対応が不要に
- 連絡帳のデジタル化:タブレットやスマホで入力・確認。写真の添付も可能
- 指導計画・日誌の作成:テンプレートを活用して効率的に作成
- 保護者へのお知らせ配信:アプリで一斉送信。紙の配布が不要
- 写真の管理・販売:保護者がアプリ上で写真を選んで購入
- シフト・勤怠管理:シフト作成の自動化、打刻管理
- 午睡チェック記録:センサーと連携した自動記録
- 請求・会計業務:保育料の計算・請求の自動化
ICT導入のメリット
業務時間の大幅短縮
ICT導入により、事務作業時間が年間約83時間短縮されたというデータがあります。特に効果が大きいのは出欠管理と連絡帳のデジタル化で、朝の電話対応がなくなるだけでも大きな時間節約になります。具体的には、朝の欠席連絡の電話対応に1件あたり3〜5分かかっていたものが、アプリなら保育者は一覧で確認するだけで済むため、20人クラスで毎朝10〜15分の時短効果が期待できます。年間に換算すると約60時間の削減です。詳細は以下の記事にまとめています。

残業・持ち帰り仕事の削減
指導計画や日誌の作成がテンプレートを使って効率化されるため、勤務時間内に完了する業務が増えます。結果として、残業時間の削減や持ち帰り仕事の解消につながります。ある調査では、ICT導入後に保育者の月平均残業時間が5〜8時間減少したという結果も報告されています。特に月案や週案の作成で、前月のデータをコピーして修正できる機能は大きな時短につながります。
保護者満足度の向上
デジタル連絡帳では写真付きで園での様子を伝えられるため、保護者の満足度が向上します。欠席連絡もアプリで簡単にできるため、朝の忙しい時間に電話をかける必要がなくなり、保護者側のストレスも軽減されます。
情報共有の精度向上
紙の書類は紛失や情報の伝達漏れが起こりやすいですが、デジタル化により情報が一元管理され、職員間の共有もスムーズになります。
ペーパーレス化によるコスト削減
紙の使用量が減り、印刷コストや保管スペースの節約につながります。環境面のメリットもあります。


ICT導入のデメリットと対策
導入コスト
初期費用や月額利用料がかかります。ただし、こども家庭庁の「保育所等におけるICT化推進等事業」を活用すれば、最大130万円の補助が受けられます。長期的に見れば人件費や紙代のコスト削減効果のほうが大きいケースがほとんどです。以下の記事も参考にしてみてください。



操作への不安
デジタル機器に不慣れな職員が抵抗を感じることがあります。導入時の研修を丁寧に行い、簡単な機能から段階的に使い始めることで、スムーズに移行できます。
システムトラブルのリスク
インターネット障害やシステム障害が起きた場合の対応策を事前に決めておく必要があります。紙の連絡帳やFAXなど、代替手段を準備しておきましょう。
個人情報管理の徹底
デジタル化により個人情報の取り扱いがより重要になります。パスワード管理、アクセス権限の設定、端末の紛失対策など、セキュリティ対策を徹底しましょう。
- ICTは保育を補助するツールであり、保育者の代わりではない
- デジタル化しても、保護者との対面コミュニケーションは大切にする
- 午睡チェックセンサーを導入しても、目視確認は省略しない
ICT導入の補助金制度
保育所等におけるICT化推進等事業
こども家庭庁が実施する補助制度で、ICT導入にかかる費用に対して最大130万円が補助されます。対象となるシステムは、業務の効率化や保護者対応の改善に寄与するものです。
午睡チェックセンサー導入補助
午睡中のブレスチェックを支援するセンサーの導入に対して、上限50万円の補助が受けられます。SIDS予防の観点から、多くの自治体が積極的に推進しています。以下の記事でさらに詳しく紹介しています。



申請方法は自治体によって異なるため、まずはお住まいの自治体の保育担当課に確認してみましょう。
ICT導入を園長に提案するときのポイント
- データで示す:「月○時間の残業が削減できる見込みです」と具体的な数字を提示
- 補助金情報を添える:「最大130万円の補助が使えます」とコスト面の不安を解消
- 他園の導入事例を紹介する:成功事例があると説得力が増します
- 段階的な導入を提案する:まず出欠管理からなど、小さく始める案を示す


参考になる外部資料
よくある質問(Q&A)
Q. ICTシステムの種類が多くて選べません。どう選べばいいですか?
園が最も効率化したい業務を明確にし、その機能が充実しているシステムを選びましょう。無料トライアルを提供しているサービスも多いので、実際に触ってから判断するのがベストです。
Q. 保護者にアプリの使用を強制できますか?
アプリの利用が難しい保護者には、電話や紙の連絡帳など代替手段を残しておくことが必要です。ただし、多くの保護者はスマホアプリのほうが便利と感じるため、導入後の反対は少ないケースがほとんどです。
Q. ICT導入後、手書きの連絡帳を残すべきですか?
完全にデジタルに移行する園もあれば、併用する園もあります。保護者の声を聞きながら、園の方針に合った形で運用しましょう。「0歳児は手書き、幼児クラスはデジタル」など、段階的に移行する方法もあります。
Q. セキュリティが心配です。情報漏洩のリスクはありませんか?
大手のICTシステムはセキュリティ対策が施されています。パスワードの定期変更、端末のロック設定、退職者のアカウント削除など、園としての基本的なセキュリティルールを守ることが大切です。
Q. 小規模保育園でもICT導入のメリットはありますか?
園の規模に関わらずメリットはあります。特に少人数の園では一人あたりの業務量が多いため、ICTによる効率化の恩恵は大きいです。補助金は園の規模に関わらず申請可能です。
まとめ
保育ICTシステムの導入は、業務効率化、残業削減、保護者満足度向上など、多くのメリットをもたらします。こども家庭庁の補助金制度も活用すれば、コスト面のハードルも大きく下がります。
ICT化で生まれた時間を、子どもたちとの関わりに充てることこそ、保育の質を本当の意味で向上させることです。まずは小さな一歩から、ICT導入を検討してみてください。


