「保育士と幼稚園教諭ってどう違うの?」「どっちが給料が高いの?」「両方の資格は取れる?」――保育や幼児教育に興味がある方なら、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
どちらも子どもの成長に関わる仕事ですが、資格の種類、対象年齢、仕事内容、管轄する省庁など、実はかなり違いがあります。
この記事では、保育士と幼稚園教諭の違いを項目別にわかりやすく比較し、給料データや両方の資格を取得する方法まで詳しく解説します。

保育士と幼稚園教諭の基本的な違い
まずは根本的な違いを整理してみましょう。
| 項目 | 保育士 | 幼稚園教諭 |
| 資格の種類 | 国家資格(保育士資格) | 教員免許(幼稚園教諭免許) |
| 管轄省庁 | こども家庭庁 | 文部科学省 |
| 施設の位置づけ | 児童福祉施設 | 学校教育施設 |
| 対象年齢 | 0歳〜就学前 | 満3歳〜就学前 |
| 保育・教育時間 | 原則11時間(8時間保育) | 原則4時間の教育 |
| 主な目的 | 保護者に代わって養護と教育を行う | 学校教育法に基づく幼児教育 |
資格の違い
保育士は厚生労働省(現在はこども家庭庁)管轄の国家資格で、保育士試験に合格するか指定保育士養成施設を卒業することで取得できます。一方、幼稚園教諭は文部科学省管轄の教員免許で、大学や短大で所定の単位を修めて取得するのが基本ルートです。
保育士試験ルートを考えている方は、まず市販のテキストで出題範囲をざっと眺めてみると、学習量のイメージがつかめます。購入する際は最新年度版で、法改正に対応しているかを確認してから選びましょう。
対象年齢の違い
保育士は0歳児から就学前の子どもまで、幅広い年齢の子どもに対応します。一方、幼稚園教諭は満3歳以上の子どもが対象で、0〜2歳児の保育は行いません。この対象年齢の違いは、日々の仕事内容にも大きく影響します。
仕事の目的の違い
保育士は「養護と教育の一体的な提供」が目的です。子どもの生活全般(食事、排泄、午睡など)をサポートしつつ、発達に合った教育的な関わりも行います。幼稚園教諭は「学校教育法に基づく幼児教育」が目的で、カリキュラムに沿った教育活動が中心になります。

給料の違いを比較
保育士と幼稚園教諭の給料はどれくらい違うのでしょうか。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」のデータを基に比較してみます。
平均年収の比較
保育士の平均年収は約428万円、幼稚園教諭の平均年収は約413万円で、処遇改善の進展により保育士の方がやや高くなっています。
月々の基本給にはほぼ差がありませんが、処遇改善加算の拡充により保育士の給与水準は年々上昇しており、両者の差はほぼなくなっています。
勤務時間と働き方の違いが収入に影響する
幼稚園は教育時間が原則4時間のため、保育園ほどシフト制が複雑ではありません。ただし、預かり保育の実施状況によっては保育園と同様の勤務体制になるケースもあります。保育園はシフト制の早番・遅番があり、土曜出勤もあるのが一般的です。
公立と私立の年収差
公立施設で働く場合は地方公務員としての給与体系が適用されるため、年齢とともに安定して年収が上がります。私立の場合は園の経営状態や処遇改善加算の適用状況によって差が出ます。保育士・幼稚園教諭ともに、公立のほうが長期的に見て年収が高くなる傾向があります。
仕事内容の違い
保育士の1日の流れ
保育士の勤務は朝7時頃の早番から夜7時頃の遅番までのシフト制で、実働8時間程度です。子どもの受け入れ、朝の会、散歩や外遊び、給食、午睡(昼寝)、おやつ、降園準備と、子どもの1日の生活をトータルでサポートします。
幼稚園教諭の1日の流れ
幼稚園教諭の教育時間は原則4時間で、登園が9時〜10時頃、降園が14時頃というパターンが一般的です。教育時間中はカリキュラムに沿った活動(製作、歌、運動遊びなど)を行い、降園後は教材準備や書類作成を行います。
書類業務の違い
保育士は保育日誌、個別の発達記録、月案・週案・日案など書類業務が多い傾向があります。幼稚園教諭も指導計画や指導要録などの書類はありますが、保育時間が短い分、事務作業に充てられる時間が確保しやすい面があります。
資格の取り方の違い
保育士資格の取得方法
- 指定保育士養成施設を卒業する:大学・短大・専門学校で所定の課程を修了
- 保育士試験に合格する:筆記試験8科目+実技試験に合格する(年2回実施)
保育士試験は独学や通信講座で勉強して受験できるため、社会人や主婦の方でも取得しやすいのが特徴です。
独学で進めるなら、テキストで基礎を押さえたあとに過去問題集で出題傾向をつかむのが定番の流れです。古い年度の問題は法改正で答えが変わっていることもあるため、最新年度版を選びましょう。
幼稚園教諭免許の取得方法
- 大学・短大で所定の単位を修める:教育系学部や幼児教育学科などで免許に必要な科目を履修
- 幼稚園教員資格認定試験に合格する:文部科学省が実施する認定試験に合格する(実施頻度は不定期)
幼稚園教諭免許は一種(4年制大学卒)、二種(短大卒)、専修(大学院卒)の3種類があります。
両方の資格を取得する方法
認定こども園の増加に伴い、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持つ「保育教諭」の需要が高まっています。
養成施設で同時取得する
多くの保育系の大学や短大では、カリキュラムの中で保育士資格と幼稚園教諭免許を同時に取得できるようになっています。これから資格を取る方には最も効率的な方法です。
特例制度を利用する
保育士として3年以上(4,320時間以上)の実務経験がある場合、特例制度により大学で少ない単位数(最少8単位)で幼稚園教諭免許を取得できます。通信制大学でも対応しているため、働きながら幼稚園教諭免許を取得することも可能です。
特例制度で学ぶ前に、幼児教育の考え方や幼稚園教育要領のポイントをまとめたテキストに目を通しておくと、講義の内容が頭に入りやすくなります。
特例制度には期限が設けられています。制度の最新情報は文部科学省のサイトで確認してください。延長の可能性もあるため、取得を考えている方は早めに情報を確認しましょう。

どちらを選ぶべき?向いている人の特徴
保育士が向いている人
- 0歳児からの赤ちゃんの世話が好き
- 子どもの生活全般をサポートしたい
- 多様な施設で働きたい(保育園、乳児院、児童養護施設など)
- シフト制の働き方に抵抗がない
幼稚園教諭が向いている人
- 教育的な関わりに興味がある
- カリキュラムに沿った指導をしたい
- 土日祝日が休みの働き方が良い
- 夏休みなどの長期休暇がほしい
認定こども園という新しい選択肢
保育士と幼稚園教諭の違いを理解するうえで、「認定こども園」の存在は欠かせません。認定こども園は保育と教育の両機能を併せ持つ施設で、0歳から就学前まで一貫したサービスを提供します。
認定こども園の4つのタイプ
- 幼保連携型:幼稚園と保育園の機能を一体化した施設。保育教諭(両方の資格が必要)が勤務する
- 幼稚園型:幼稚園が保育機能を追加した施設
- 保育所型:保育園が教育機能を追加した施設
- 地方裁量型:地域の実情に合わせて設置された施設
認定こども園で働くメリット
認定こども園では、保育と教育の両方を経験できるため、保育者としてのスキルの幅が広がります。両方の資格を持っていれば採用の選択肢が増え、施設側からも重宝されます。処遇面でも認定こども園は一般的に安定した給与水準を維持しているケースが多いです。
Q&Aコーナー
Q. 認定こども園で働くには両方の資格が必要ですか?
幼保連携型認定こども園で「保育教諭」として働くには、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が原則として必要です。ただし、経過措置が設けられており、片方の資格のみで勤務できる場合もあります。経過措置の期限は延長される可能性があるため、最新情報を確認してください。
Q. 保育士から幼稚園に転職することはできますか?
幼稚園教諭免許を持っていれば転職は可能です。保育士資格しか持っていない場合は、特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得してから転職するのが現実的な方法です。
Q. 給料を上げるにはどちらの資格が有利ですか?
給料の差はわずかなので、「どちらの資格が有利か」よりも「どの施設で働くか」「どの役職に就くか」のほうが年収への影響は大きいです。公立施設への就職や、キャリアアップ研修の修了による処遇改善加算の取得が、年収アップの近道です。
Q. 幼稚園教諭免許には更新が必要ですか?
以前は10年ごとの免許更新講習の受講が義務付けられていましたが、教員免許更新制は廃止されました。これにより、幼稚園教諭免許は一度取得すれば有効期限なく使えるようになっています。ただし、過去に更新手続きを行わなかったことで失効している場合は、再授与の手続きが必要になることがあるため、免許状の有効性を確認しておきましょう。
まとめ
保育士と幼稚園教諭は、管轄省庁、対象年齢、仕事内容、資格の取り方など多くの点で違いがありますが、給料面での差はほとんどありません。保育士の平均年収は約428万円、幼稚園教諭は約413万円で、処遇改善により保育士の待遇は着実に向上しています。
どちらを選ぶかは、「どんな年齢の子どもと関わりたいか」「どんな働き方がしたいか」という自分の希望によって決めるのがよいでしょう。認定こども園の増加に伴い、両方の資格を持つ「保育教諭」の需要はますます高まっているため、可能であれば両方の取得を検討してみてください。
保育士と幼稚園教諭の違いについてさらに詳しく知りたい方は、ユーキャンの解説ページも参考になります。また、特例制度の詳細は文部科学省の公式サイトで確認できます。




