「園内研修のテーマが毎回マンネリ化してしまう」「職員の参加意欲が上がらない」「何をテーマにすれば現場に活きる学びになるのか、いまいち掴めない」――研修担当を任されると、こんな悩みにぶつかりがちです。
園内研修は、外部研修とは違って園の課題や実情に合わせたテーマを自由に設定できるのが大きなメリットです。だからこそ、テーマの選び方次第で研修の効果が大きく変わります。
この記事では、園内研修のテーマ選びのコツから、保育士に人気のテーマ、研修を成功させるためのポイントまでまとめています。研修担当の方だけでなく、園長や主任の方にも役立つ内容です。

園内研修の目的と意義
園内研修の大きな目的は、保育士一人ひとりの専門性を高めることです。外部研修では一般的な内容が中心ですが、園内研修なら自分たちの園の課題に直結したテーマを扱えます(レバウェル保育士)。
もう一つの大きな意義は、職員同士のコミュニケーションの場になることです。普段の業務中にはなかなか話し合えない保育観や悩みを共有することで、チームワークの向上にもつながります。
テーマ選びの3つのコツ
1. 職員の「困りごと」からテーマを見つける
研修テーマを決める際は、まず職員が日々の保育で感じている疑問や課題を把握することから始めましょう。アンケートを取ったり、日頃の会話の中でキャッチした悩みをリストアップしたりする方法が効果的です。「この研修があったから助かった」と感じてもらえるテーマは、現場の声から生まれます。
2. 園の年間計画と連動させる
年度初めに園の理念や方針を共有する研修を実施し、その後は季節や行事に合わせたテーマを設定していくと自然な流れになります。計画的にテーマを組むことで、1年を通じて体系的な学びを積み重ねることができます。
3. 座学だけでなく「体験型」を取り入れる
講義形式だけの研修は集中力が続きにくく、「聞いたけど忘れた」ということになりがちです。ロールプレイやグループワーク、実際の事例検討など体験型の要素を取り入れると、学びが定着しやすくなります。

保育士に人気の園内研修テーマ一覧
保育士を対象にした調査では、園内研修で学びたいテーマとして以下の分野が人気を集めています(Comfy)。
1. 遊びと活動(歌・手遊び・リトミックなど)
保育の基本であり、新しいネタの引き出しを増やしたいというニーズが常に高いテーマです。実技を交えた研修にすると、そのまま翌日の保育に活かせます。
研修で紹介するネタ探しには、手遊びの本を1冊用意しておくと、年齢や季節ごとに題材を選びやすくなります。
2. 発達障害のある子どもへの対応
支援が必要な子どもの数は増加傾向にあり、現場で対応に悩む保育士が増えています。具体的な声かけの方法や環境設定など、実践的な内容が求められています。
3. 食育
食物アレルギー対応や、子どもが楽しんで食べられる工夫など、食育に関するテーマは幅広く取り上げられます。調理担当との合同研修にすると、より実践的な学びになります。
研修の資料づくりには、保育現場向けの食育の本を参考にすると、子どもと一緒に取り組める活動例を集めやすくなります。
4. 事故防止・安全管理
ヒヤリ・ハット事例の共有や、SIDS(乳幼児突然死症候群)の予防、プール遊びの安全管理など、子どもの命に直結するテーマです。定期的に実施することで、安全意識の維持・向上につながります。
5. 保護者対応・コミュニケーション
クレーム対応や、難しい保護者との関わり方に悩む保育士は多いです。ロールプレイ形式で実際の場面を再現しながら練習すると、いざという時に冷静に対応できるようになります。
6. 不適切保育の防止
記事執筆時点で社会的に大きな関心を集めているテーマです。「自分たちの保育を振り返る」ためのチェックリストを使ったワークショップ形式がおすすめです。
7. ICT活用・業務効率化
保育ICTシステムの導入や、書類業務の効率化に関するテーマです。デジタルに苦手意識がある職員にも配慮しながら、段階的に学べる内容にすると効果的です。
8. 子どもとのコミュニケーション
言葉かけの方法や、子どもの気持ちに寄り添う関わり方をテーマにした研修です。日々の保育の質を直接向上させるテーマとして、経験年数を問わず人気があります。
研修の実施頻度と形式
厚生労働省の保育所保育指針では研修の実施回数に明確な規定はありませんが、実態としては月1回・年12回程度を目安にしている園が多いです(Hitonova)。
研修の形式例
- 座学(講義):知識を体系的に学ぶのに適している。ただし一方通行になりやすい
- グループワーク:少人数で意見交換ができ、多様な視点に触れられる
- 事例検討(ケーススタディ):実際のエピソードをもとに対応を考える実践的な形式
- ロールプレイ:保護者対応や子どもとの関わり方を疑似体験できる
- 外部講師招聘:専門家の知見を直接聞ける。年2~4回の活用がおすすめ
- 動画視聴+ディスカッション:オンライン研修との組み合わせで時間を効率的に使える
研修を成功させるためのポイント
研修後のアクションプランを決める
「良い話が聞けた」で終わらせず、研修後に何を実践するかを具体的に決めることが大切です。「来週から〇〇をやってみよう」というアクションプランを参加者同士で共有すると、学びが行動に変わります。
参加しやすい時間設定にする
午睡中やシフトの合間など、参加者全員が出席しやすい時間帯を選びましょう。1回あたり60~90分程度が集中力の持続にも適切な長さです。
振り返りの仕組みを作る
研修から1か月後に「やってみてどうだったか」を共有する場を設けると、学びの定着度が格段に上がります。うまくいったことも、うまくいかなかったことも含めて振り返ることで、次の研修テーマのヒントにもなります。
記録を残して振り返りに活用する
研修の内容と参加者の感想を記録に残しておくと、次回のテーマ選びや年間計画の見直しに活用できます。欠席した職員への情報共有にも役立ちます。
研修資料や記録は、テーマごとにファイルへ綴じて保管しておくと、翌年度の計画づくりで見返しやすくなります。

年間研修計画の作り方|テーマの並べ方の例
年間を通じた研修計画を立てておくと、テーマの偏りを防ぎ、体系的な学びを積み重ねることができます。以下は参考例です。
年間研修計画の例
- 4月:園の理念・方針の共有、新年度の保育目標の確認
- 5月:アレルギー対応と食育の基本
- 6月:プール遊び・水遊びの安全管理
- 7月:熱中症対策と夏場の健康管理
- 8月:発達障害のある子どもへの支援
- 9月:防災訓練の振り返りと危機管理
- 10月:保護者対応・個人面談の進め方
- 11月:感染症対策(インフルエンザ・ノロウイルス等)
- 12月:不適切保育の防止(自己チェックワークショップ)
- 1月:ICT活用と業務効率化
- 2月:進級・卒園に向けた小学校連携
- 3月:1年間の振り返りと次年度への申し送り
この例をベースに、自園の課題や地域の特性に合わせてカスタマイズしてみてください。年度初めに計画を決めておくことで、「テーマが決まらない」という悩みから解放されます。
研修で使えるおすすめの参考資料
園内研修の準備にあたって、参考になる資料をいくつか紹介します。
- 文部科学省「園内研修アイデア集」:研修の進め方やテーマ例が具体的にまとめられた資料です(文部科学省 PDF)。
- 保育所保育指針解説:保育の基本的な考え方を確認する際に必携の資料です。研修の土台として活用できます。
- 各自治体の研修ガイドライン:お住まいの自治体が独自の研修資料を公開している場合があります。自治体のWebサイトで検索してみましょう。
保育所保育指針解説は書籍としても販売されているので、職員室に1冊置いておくと、研修中にすぐ該当箇所を確認できます。購入時は最新の改定に対応した版かどうかを確認してください。
Q&Aコーナー|園内研修に関するよくある質問
Q. テーマが思い浮かばないときはどうすればいいですか?
職員へのアンケートが一番の近道です。「保育で困っていること」「もっと学びたいこと」を自由記述で聞いてみると、意外なテーマが見つかることがあります。行政が発行している園内研修事例集も参考になります。
Q. 少人数の園でも効果的な研修はできますか?
少人数の園は、むしろ全員の意見が出やすい環境です。座学よりもディスカッションやケーススタディ中心にすると、少人数の利点を活かした深い学びが得られます。
Q. 外部講師を呼ぶ予算がない場合、どうすればいいですか?
オンラインで無料視聴できる研修動画や、自治体が主催する無料の研修会を活用する方法があります。また、園内の経験豊富な職員が講師役を務めるのも効果的です。教える側にとっても学びの機会になります。
Q. 研修に参加してくれない職員がいます。どう対応すればいいですか?
まずは研修に対するネガティブな印象の原因を探りましょう。「忙しいのに時間を取られる」「内容が自分に関係ない」と感じている場合が多いです。テーマ選びの段階で全員の意見を反映させたり、研修時間を短くして回数を増やしたりする工夫で、参加率が改善することがあります。
Q. オンライン研修は効果がありますか?
オンライン研修には「移動時間がかからない」「録画を後で見返せる」「全国の講師に依頼しやすい」などのメリットがあります。ただし対面に比べて参加者同士の交流が生まれにくい面もあるため、オンラインで知識を得た後に園内でディスカッションするハイブリッド型がおすすめです。
まとめ
園内研修のテーマは、職員の困りごとをベースに、園の年間計画と連動させながら選ぶのが効果的です。人気テーマは「遊び・活動」「発達障害対応」「食育」「安全管理」「保護者対応」「不適切保育防止」「ICT活用」「コミュニケーション」の8分野です。
座学だけでなく体験型の要素を取り入れ、研修後にはアクションプランを設定することで、学びが現場の改善につながります。テーマ選びに迷ったら、まず職員の声に耳を傾けるところから始めてみてください。



