保育実習生の受け入れは、次世代の保育者を育てる大切な役割です。しかし「忙しいのに実習生の面倒まで見られない」「何を教えればいいかわからない」と負担に感じる方も多いのではないでしょうか。実習指導のコツを知っておけば、実習生の成長をサポートしながら自分自身の保育を見つめ直すきっかけにもなります。
この記事では、実習生の受け入れ準備から日々の指導方法、実習日誌へのコメントの書き方まで具体的に解説します。実習生にとっても指導者にとっても実りある実習期間にするためのノウハウをまとめました。

実習生の受け入れ準備
事前のオリエンテーション
- 園の理念・方針の説明
- 一日の流れと保育内容の紹介
- 子どもへの関わり方の基本ルール
- 守秘義務の確認(個人情報の取り扱い)
- 服装や持ち物、出退勤のルール
- 緊急時の対応方法
クラスでの受け入れ体制
- 実習生のロッカーや荷物置き場を確保する
- 子どもたちに事前に「先生が来るよ」と伝えておく
- クラスの職員間で実習生への関わり方を統一する
- 実習生に見てもらいたいポイントを事前に整理しておく
日々の指導のポイント
段階的に任せる
最初から何でもやらせるのではなく、「見学→部分参加→責任実習」と段階的にステップアップさせるのが効果的です。
- 実習前半:保育の流れを観察し、子どもの名前と特徴を覚える
- 実習中盤:朝の会の司会、手遊び、絵本の読み聞かせなど部分的に担当する
- 実習後半:指導案を作成し、活動の一部を責任持って進める
見本を見せる
「こうやってね」と言葉で説明するだけでなく、実際にやって見せることが最も効果的な指導方法です。手遊び、声かけ、環境設定など、保育者の動きを間近で見ることが実習生にとって何よりの学びになります。
質問しやすい雰囲気を作る
「わからないことは何でも聞いてね」と伝えるだけでなく、保育者側からも「今のところで何か気づいたことある?」と声をかけましょう。質問しやすい関係性を作ることが大切です。
- 「今のやり方、上手だったよ」(具体的に褒める)
- 「どうしてそうしたの?」(考えを引き出す)
- 「私はこうやっているよ」(押し付けずに伝える)
- 「緊張してるかもしれないけど、大丈夫だよ」(安心させる)

実習日誌へのコメントの書き方
コメントの基本姿勢
- 実習生の気づきや学びを肯定する
- 改善点は具体的に、前向きな表現で伝える
- 質問に対して丁寧に回答する
- 次の実習に向けた課題を提示する
コメント例
良い点を褒める:「手遊びの際、子どもたち一人ひとりと目を合わせていたのがとても良かったです。子どもの反応をよく見て、テンポを調整していたのも素晴らしいです。」以下の記事で具体的に解説しています。

改善点を伝える:「絵本の読み聞かせでは、もう少しゆっくり読むと子どもが絵をじっくり見る時間ができます。次回はページをめくる前に一拍置いてみてください。」
責任実習の指導案チェックポイント
実習生が責任実習の指導案を作成する際に、指導者としてチェックすべきポイントを紹介します。
ねらいが具体的か:「楽しく遊ぶ」ではなく「友だちと一緒にルールを守って鬼ごっこを楽しむ」のように、具体的な行動レベルで書かれているか確認しましょう。曖昧なねらいでは活動の方向性が定まりません。
子どもの姿が反映されているか:指導案は「教科書通りの活動」ではなく、「このクラスの子どもたちに合った活動」である必要があります。「走ることが好きな子が多い」「集中力が10分程度」など、実際のクラスの特徴を踏まえた計画になっているかを確認します。
環境構成が具体的か:「机を並べる」だけでなく、「○脚の机を○の字型に配置し、子どもが制作物を見せ合えるようにする」と具体的に記載されているか。当日に迷わず準備できるレベルの具体性が求められます。
予想される子どもの姿と対応が書かれているか:「参加したがらない子がいた場合→無理に誘わず、見ていてもいいことを伝える」「早く終わった子がいた場合→自由に遊べるスペースを用意しておく」など、想定外の事態への対応が書かれていると安心です。詳細は以下の記事にまとめています。



指導案の完成度を上げることも大切ですが、実習生が「自分で考える力」を育てることが最優先です。最初から完璧な指導案は書けません。「ここはどう思う?」と問いかけながら、一緒に考える姿勢で指導しましょう。
よくある困りごとへの対応
実習生が積極性に欠ける場合
緊張や自信のなさが原因のことが多いです。具体的にやることを指示してあげましょう。「ここに座って子どもの遊びを見ていてね」「食事の配膳を手伝ってね」と、明確に伝えることで動きやすくなります。実習初日〜3日目は特に緊張が強い時期なので、「最初は見ているだけでいいからね」と安心させる声かけが効果的です。3日目以降に「手遊びを一つやってみない?」と小さな挑戦を提案すると、自然と積極性が引き出されます。
子どもとの距離感がつかめていない場合
「仲良くなりたい気持ちはわかるけど、子どもから来るのを待つことも大切だよ」とアドバイスしましょう。無理にお世話をしようとして子どもに嫌がられるケースもあるため、適切な距離感を教えます。
実習日誌の書き方がわからないと相談された場合
実習日誌は養成校によって書式が異なりますが、基本の構成は「今日の活動内容」「子どもの姿」「自分の気づき・学び」「明日への課題」の4つです。「子どもの姿」の欄は事実を具体的に書くのが大切で、「Aちゃんが積み木を10段積んで”見て!”と喜んでいた」のように、子どもの言葉や行動をそのまま記録するよう伝えましょう。最初は書き方がぎこちなくても、毎日のコメントで方向性を示していけば徐々に上達します。
- 実習生の人格を否定するような指導は絶対にしない
- 子どもの前で実習生を叱らない
- 実習生にも休憩時間を確保する
- ハラスメントにあたる行為がないよう十分配慮する


参考になる外部資料
よくある質問(Q&A)
Q. 実習生の指導が通常業務に支障をきたしています。
園長に相談し、実習期間中の保育体制を見直しましょう。指導担当を複数人で分担したり、実習生が自主的に動ける場面を増やしたりすることで負担を軽減できます。以下の記事も参考にしてみてください。



Q. 実習日誌のコメントを書く時間がありません。
箇条書きでも構いません。要点を簡潔にまとめて書きましょう。「良かった点1つ、改善点1つ、明日への一言」の3点を書く形式にすると、短時間で質の高いコメントが書けます。
Q. 実習生が保育中にスマホを使っていました。どう注意すべきですか?
保育中のスマホ使用は禁止であることを改めて伝えましょう。頭ごなしに叱るのではなく、「なぜ保育中にスマホを使ってはいけないのか」の理由を説明すると理解が深まります。
Q. 実習評価はどのように行えばいいですか?
養成校から提供される評価表に基づいて、客観的に評価しましょう。良い点と課題点の両方を記載し、次の実習に向けた具体的なアドバイスを添えると実習生のためになります。
Q. 実習生を受け入れるメリットはありますか?
実習生の質問や新鮮な視点は、自分の保育を見つめ直すきっかけになります。「なぜこうしているのか」を説明する中で、自分の保育観が整理されるという効果もあります。将来の人材確保にもつながります。
まとめ
実習指導は、次世代の保育者を育てる大切な仕事です。段階的に経験を積ませ、良い点を認めつつ改善点を具体的に伝えることで、実習生は着実に成長していきます。
「保育って楽しい!」と思ってもらえる実習にすることが、何よりの指導です。忙しい中でも実習生を温かく迎え入れ、保育の魅力を伝えていきましょう。


